「ミューズ(muse)」と「ペルソナ(persona)」そして「インフルエンサー(influencer)」

ファッションに携わる人は、一度は聞いたことがある言葉 、

「ミューズ」「ペルソナ」「インフルエンサー」

TFLの教育の場でも、ブランド企画ビジネス創造コミュニケーション立案のそれぞれの段階でこれらの言葉を使い分けます。

しかし、「心の揺れ」「気づき」「共感」「問題意識」などの「人の感情」から様々なプロセスを経て、「新しいデザイン」「サービス」「コミュニケーション」を創造する過程においては同じような使われ方になって来た感があります。

では、少し紐解いてみましょう。

「ミューズ (muse)」

ギリシア神話の女神、「ムーサ」の英語名(複数形)。音楽・舞踏・学術・文芸などを司る。(ウィキペディアによる)

ファッション業界での使われ方は、ファッションデザイナーがインスピレーションを得るためのモデルや、ブランドを象徴するモデルのことを言います。

サンローランカトリーヌ・ドヌーブをミューズとしてジバンシーオードリー・ヘップバーンをミューズにしていました。

デザイナーたちは、ミューズのライフスタイルや様々な生活シーン、人生の楽しみ方をイメージして洋服やブランドの世界観をクリエイションします。

ブランドの顧客は、洋服のデザインはもとより、PR用のビジュアル、ファッションショー、お店作りに到るまでの世界観やミューズのライフスタイルに憧れ、共感して、洋服を購入するのです。

「ペルソナ (persona)」

商品・サービスを利用する顧客の中で最も重要な架空の人物モデルのこと。

マーケティングやビジネスシーンで最近多く使われるようになった「ペルソナ」。

ユーザー中心デザイン(User-Centered Design: UCD)の考え方の中から広がって来た架空の代表的なユーザー像。企画者たちが価値観を共有しターゲットとなるユーザーを理解するために、一人の架空のユーザー像を描きます。

架空のペルソナを説明するために、イメージ写真、年齢、生活シーン、仕事、趣味などのライフスタイルを具体的なビジュアルや簡単なストーリーで紹介します。こうして描き出されたユーザーの代表であるペルソナに向けて、サービスやデザイン、コミュニケーションを考えていきます。その結果、このペルソナに共感し憧れるユーザーたちが、提供される商品やサービスを購入するのです。

「インフルエンサー (influencer)」

世間に与える影響力が大きい行動を行う人物のこと。その様な人物の発信する情報を企業が活用して宣伝することをインフルエンサー・マーケティングと呼ぶ。(ウィキペディアより)

こちらもマーケティングやビジネスでよく使われる言葉です。

ICTの発展に伴いブロガー、インスタグラマー、ユーチューバーなど、WEB上で多くのフォロワーを持つユーザーが強い影響力を持ち始めました。広告よりも彼らの口コミの方が販売実績に大きな成果を残し始めたからです。

今やユーザーたちは、企業が自社商品を誇大に飾った言葉などで一方的に紹介する広告より、自分たちと同じユーザー目線からの口コミの方によりリアリティを感じ、安心し、共感し、信頼を置くようになりました。

その結果、オンラインコミュニティで多くのユーザーが憧れるライフスタイルやイメージビジュアルをSNSで発信する個人として、インフルエンサーというアイコンが誕生したのです。

ユーザーはインフルエンサーをお手本として、そこで紹介された情報を取り込み、共感するモノやサービスを購入します。

むむむ。。。

ここで勘の良い方はお気づきかと思います。

「ミューズ」「ペルソナ」「インフルエンサー」は、モノの創り手側、サービスの提供側、プロモーションの発信側では、イメージされる場面やアプローチは若干異なる場合もあります。

しかしユーザー側から見れば、それぞれそのライフスタイルや価値観への「憧れ」「共感」を抱く存在です。

この文脈においては「ミューズ」も「ペルソナ」も「インフルエンサー」も同じ意味のように感じますね。

特にアパレルブランドでは、

ファッションデザイナーが考える「ミューズ」

ブランドディレクターの考える「ペルソナ」

広報宣伝部門で使う「インフルエンサー」

のライフスタイルやイメージビジュアルは、共通でありたいですよね。

実際みなさんも服を買うときは、自分の憧れる、自分が好きな、「その人」のようになりたいと考えて、同じような「ファッション」「スタイリング」を「購入」していませんか

さて、あなたの「ミューズ/ペルソナ/インフルエンサー」は誰でしょう??