TFLファッション×テックBLOG 『Fashion Diversities.VOL.10』-ファッション産業のマスカスタマイゼーションへの挑戦-

 

 

経済産業省生活製品課のHPでの説明によると「マスカスタマイゼーション」の意味は、

 

個々の消費者の好みや、体型等のデータに応じた<個別の受注>と<⽣産システム>をIoT等のデジタルツールで連携させることで、従来の⼤量⽣産と同様の効率性で、オーダーメイドの⼀点物を⽣産・販売する取組。

です。

 

 

オーダーメイドの歴史を少しだけ紐解いてみます。

 

ファッションの都・パリで行われる世界最大のファッションショー「パリコレクション」には、オーダーメイド(高級注文服)のファッションショーである「オートクチュールコレクション」と高級既製服の「プレタポルテコレクション」の2つがあります。

 

1910年代に1点物の高級注文服である「オートクチュールコレクション」が始まり、1950年代に高級既製服のプレタポルテが台頭し、その後の1970年代以降の大量生産、大量消費の「既製服の時代」に突入します。

つまり、1950年代から約70年間「既製服」が世界中の洋服ニーズに対応してきた歴史があります。

 

この70年間に、アパレル企業は同じ商品を世界中で販売するために大量に同じものを製造し、製造コストを抑えることで販売価格を下げてきました

 

その結果、大量に生産した商品を直接自社のショップで販売するビジネスモデルのZARAやH&M、ユニクロなどの【SPAファストファッション】が世界のアパレルの販売実績でトップ10を占めるようになりました。

これは、“世界中のファッションが平均化されていることの裏返し”かもしれません。

少し残念な気もしますが。。

 

 

では、今後のファッション産業が進むべき大きな指針は何でしょうか??

 

大きな指針として言われていることは

「マスカスタマイゼーション」

です。

 

 

そうです。

我々は、70年間の既製服の歴史の大きな曲がり角に直面しています。

 

「オーダーメイド」→「既製服」→「オーダーメイド(マスカスタマイゼーション)」

 

言い換えると

「受注生産」→「見込み生産」→「受注生産」

の流れでもあるのです。

 

この「マスカスタマイゼーション」「過去のオーダーメイド」の大きな違いは、<情報伝達・生産効率・時間短縮>です。

これらは、デジタル技術や情報技術の発展によって成し遂げられる段階にきました。

 

ただし、デジタル技術の発展だけでは「マスカスタマイゼーション」は成し遂げられないでしょう。

注文や消費の価値観を変えて行くことも重要なポイントです。

 

“自分用にカスタマイズした商品は、届くまで1ヶ月以上待てる”

という消費者心理は、すでにNIKEIDZOZOSUITで実証されています。

 

 

 

そういえば、自動車は付属品を販売店でカスタマイズすることで注文から納品まで待つ文化が出来上がっていますよね。

 

そして、自分用にカスタマイズした洋服は、少し高いですが満足度は高くきっと大切に長く愛用されます。

 

ロンドンの「マスカスタマイゼーション 」を標榜する企業が4億円の投資を受けたニュースがあります。

https://www.unmade.com/

デジタル技術を使って受注生産するニットアパレルです。

 

 

 

洋服を大切に長く愛用する社会。

注文した商品が出来上がるまで待つ余裕のある価値観。

多様なスタイルを受け入れる社会の寛容性。

洋服を直して着続ける文化。

 

 

製造流通におけるデジタルによる受注生産の効率化と、このような価値観や文化が広がってこそ「マスカスタマイゼーション」が完成されます。

 

そういえば、明治以前の日本には「勿体無い」という素晴らしい価値観がありましたね。

 

 

ものを大切にする文化がある日本から「マスカスタマイゼーション 」を世界に広げていきませんか??

 

参考資料

経済産業省製品課HP内の「報告書」参照

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/seikatsuseihin-IoT.html

 

※TFLのスクール紹介も経済産業省のこのページで紹介されています。