「Imagine Fashion ゼミ」vol.4 ~WOW 田崎佑樹氏 後編 ~
~感性とテクノロジーの境界を超えたデザインを考える~
「イマジン・ファッション(Imagine Fashion)ゼミ」第4回目のレポートをお届けします。
WOWコンセプター/クリエイティブディレクタ田崎講師の2回目のワークショプです。
前回出された課題
「人間がサイボーグになったときどのようなことが起こる?」のアイデアを発表しました。
なぜテーマ が”サイボーグ” なのか?
田崎講師から「サイボーグはファッションの未来になる。“服と人”の境界がなくなる時代がそこまできている。」
未来予測キーポイントの1つとして「人体に人工物を加えてさらなるパワーアップを図ることが焦点」とも言われています。
6本目の人工の指、2.0以上の視力を有する人工の目、ウエアラブルなAI。
これらがわれわれの生活やファッションに与えるインパクトは計り知れないものがあります。
そんな時代に求められるファッションには
「服とは人間にとってどういう意味を持つのか?」
「ファッションデザインとは?」
という根源的な意味を問われることになります。
情報発信方法や伝達方法がICTの発展により「個」から「個」に世界中を瞬時に駆け巡るようになって以来、企業課題と社会課題が一緒でないと企業は継続ができません。
つまり、「個」と「群」の境界がなくなってきているのです。
現在のファッションは企業課題が強いのではないでしょうか?
売れるものを作れとか、トレンドが春夏秋冬で変化することも「企業」が洋服を売るために考えていることではないのでしょうか?
ファッションは企業課題ばかりを押し付けていないか?
社会課題でないことを押し付けていないか?
これがトレンドって押し付けていないか?
このことを、服をデザインする上で考えて欲しいのです。
「企業課題」と「社会課題」を考えて今後デザインをすることが必要となってきます。
なぜなら、「企業課題」と「社会課題」が近くないとCSR(=企業の社会的責任)は続きません。そして、CSRを株価のためでなく、突き詰めて行く企業でなければ社会に必要とされなくなります。
デザイナーには強さが必要です。恐れず知ること。
「AI(人工知能)に支配される=怖いとの感覚」を超えて知っていることが必要です。
AIは現在、第3次AIブームを迎えています。
現在のAIと過去のAIとの違い。今のAIは人間がわからないこと、予測できないこともできる。
ディープラーニングでは車道へ飛び出してきた歩行者の感知をして勝手に予想して自動車を動かしています。
人間がわからないことまでAIが自律的に考え実行しています。
アメリカのAIは、次に有名になるアーティストを探すことができます。
未来では、AIがヒット作やヒットブランドを作ってくれるでしょう。
そしたら人間は何ができるのでしょうか?
AIは1発出るヒット作は作れる。
しかしその後の世界は描けない。
人間は希望的観測の感覚レベルが高い。
これはまだAIにはできないこと。
答えのない未来をみんなで考えること。
「他人との境界がない=服も境界=人間との関係性は?」
「人間が6本目の手を持っていると生活は?」
「サイボーグで皮膚の色を変えられるようになった時どうなる?」
「人種差別は?」
人間はアイデアを拡張する時間を持つことが重要です。
テクノロジーの発展を恐れず向き合い活用するためには、人間の役割とAI・ロボットの役割を理解していることが必要です。
「感性とテクノロジー」の境界を超えた所にあるデザインを考える貴重な授業でした。