テキスタイルへの知識を深める。セコリ荘宮浦氏によるテキスタイル講座
ーファッションデザイナーにとってリアリティのある産地巡り・素材開発方法を知るー
先日素材の産地を知り尽くしている、セコリ荘主宰・ファッションキュレーターの宮浦晋哉氏による『テキスタイル講座』が開催されました。
セコリ荘では、新人ファッション大賞の受賞デザイナーのテキスタイル開発や提供を行うなど、クリエイターに対し、情報がたくさんある中で一番ベストな情報を整理し提供しています。
また、2017年5月には『産地の学校』もスタート。
もともと、工場見学をすることが大好きで自費でよく巡っていたという素材の産地について知り尽くしている宮浦さんだからこそ教えられる、『国内素材産地状況』の説明を皮切りに授業スタート!!
地域ごとに特色を持った日本の産地
もともと、日本は北海道から沖縄まで繊維に関わる産業を行なってきました。
更に、日本の繊維工場は高い技術ノウハウを持ち合わせており、N.Yコレクションやパリコレクションなどで日本製の素材はなんと!『60%』も使用されている状況なのだとか!!
聞くところによると、世界各国のメゾンから名指しで工場を指名してくる状況なんだそうです。
何にも代えがたい日本の技、世界でこんなに活躍していました。
若手デザイナーのために効率的で現実的な工場巡りの仕方なども終えてくださりました。
例えば、群馬県の桐生市の産地のお話。
桐生はイッセイミヤケやギャルソンなども依頼するファッションに向いている産地であるとのこと。
それは、機屋・染め屋・ニードルパンチ・刺繍などの工場が揃っており、素材もナイロン・コットン・ポリエステルなどが揃う『複合産地』であるため、ファッションデザイナーとの相性が良くリアイリティがありますね。
様々な強みを持った工場さんが日本各地にあるわけですが、資金も少ない若手デザイナーにとっては視察もまとめてしやすく、現実的。
また、東京にもイヴサンローランの生地の企画を手掛ける”小野メリヤス”などが存在します。
関東圏内だけでも多くの工場さんがあることもわかりました。
アイデア勝負!!コストも考えた素材作り
このように、地域ごとに強みを持った特色がある日本の産地について教えていただいた後、素材の組織についてのワークショップ!!
これは、宮浦さんが受講生の皆さんに様々な種類の素材をくださり、その中で共通するチーム分けをするというもの。
どのような共通があるのか、皆さん生地サンプルとにらめっこ。
みかねた宮浦さんからのヒントは
『色』。
皆さん思い思いの違いと共通項を発見し、区分けをしてみました。
それぞれ似たような仕分けに。
なぜその分類にしたのか?
『後から装飾の糸を入れ込んでいる』
『平織りと綾織の織り方の違い?』
などなど分析結果が出てきました。
皆さん着眼点がよく、『その通りだ!』と宮浦さんが気づく分類わけもあり新たなルールにも気づく一幕も。
今回目的にしたルールは
『共通の縦糸をしているチームに分ける』
でした。
ヒントの”色”はこのためだったのですね!
縦糸が白のものと黒のもので分けることができたのです!!
これは、コストを下げて生地開発ができる裏技で、別々の縦糸でゼロから企画開発するのと比べてかなり低いコストで製作できるんだそう!!
確かに!!!
仲のいい工場さんなどにもよりますが、若手で資金面に不安のあるブランドはこういう手段を使うのも技。
ついついファッションのデザインに力を注ぎがちですが、元となる素材をこのようなポイントで製作することも大事なことです。デザイナーとして必要な視点を、教えていただきました。
このように宮浦さんが教えてくださったことは、とても現実的で実践的でした。
すぐにでも活用できる内容だったので、受講生たちも素材に対しての想像力がつき、より深く知りたい!という気持ちが強くなったと思います。
宮浦さん、ありがとうございました!!またお待ちしております★