街を歩いていて、「みんな似たような服を着ている」と感じたことはありませんか?
昔は、デザイナーやファッション誌が流行を生み出していました。しかし今は、SNSやネットショップの普及によって、誰もが自由に服を選べる時代になったと言われています。ところが、その「自由」の裏で、新しい同質化が起きています。
SNSでは、多くの人が「いいね」が集まりやすい服や、アルゴリズムがおすすめするスタイルを自然と選ぶようになります。自分で選んでいるつもりでも、実はAIが用意した「正解」を追いかけているだけかもしれません。
さらに、高級ブランドや限定品は、着るためではなく資産として売買されることも増えています。服は自己表現の道具であると同時に、投資の対象にもなりつつあるのです。
そんな時代だからこそ、大切なのは流行ではなく、「本当に良い服」を見極める目を持つことです。
ブランド名だけで判断するのではなく、素材や縫製に目を向けてみましょう。天然素材は長く着るほど風合いが増し、丁寧な縫製や細部までこだわった作りには、時間をかけて作られた価値が表れています。服を裏返して見るだけでも、その品質が見えてくることがあります。
また、自分の感性を育てるためには、SNSとの付き合い方も重要です。
おすすめ機能だけに頼るのではなく、普段見ないジャンルや海外のファッションを意識的に探してみることで、新しい価値観に出会えます。アルゴリズムに好みを決めてもらうのではなく、自分から視野を広げていくことが、自分らしいスタイルにつながります。
例えば、「#お洒落さんと繋がりたい」といったハッシュタグではなく、「#vetementvintage(古着:フランス語)」「#sartoriale(仕立て:イタリア語)」などのキーワードを、海外の言語で検索してみると、また違った文化のリアルなスタイルが見られるかも知れません。
現代のファッションは、何も考えずにスマホの画面を見ているだけでは、ただ流されるだけの退屈なものになってしまいます。
しかし、市場の仕組みやAIのクセを見抜き、自分の目と手で「本当に良い」と思える1着を選び抜く人にとっては、過去から現在までのあらゆるスタイルを自由にハックできる、最もエキサイティングな時代です。
みなさんも、まずは手元のスマホのアルゴリズムを調教することから、自分だけのファッションのサバイバルを始めてみませんか?
執筆:木内 潤一