TFLファッション×テックBLOG 『Fashion Diversities.VOL.9』-ファッションデザインにおけるデジタル化-
デザイン(2D)とサンプル(3D)のデジタル化で起こる変化とは?
服をデザインしてサンプル(≒プロトタイプ)を作るプロセスでも、近年ではデジタル化が進んでいます。
現状はほとんどのファッションデザイナーが手書きのアナログで「デザイン画(=ファッションイラスト)」を描いていますが、少しずつペンタブレットとPCを使ってデジタルのデザイン画を活用するファッションデザイナーも増えてきました。
また、デザイン画を2D(=2次元)のパターン(=型紙)に起こし、シルエットや着心地を確かめるために何度も3D(=立体)でサンプルを制作しますが、この2Dと3Dのやりとりの工程でもデジタル化が進んでいます。
こうしたデジタルイラストレーションや3Dモデリングが、ファッションデザインのプロセスで活用されることで起こる変化はどんなものでしょう?
これまでのファッションデザインプロセスでは、実際の製品ができるまでに何度も平面(パターン)と立体( トワル/サンプル)の間で修正を繰り返し、素材や色ごとにサンプルを製作するということをおこなっていました。
これまでファッション業界では、こうしたデザインプロセスに時間と費用がかかる一方で市場の変化の速度に対応するために生産のリードタイムを圧縮することが求められ、そのため様々な段階で膨大なロスが発生するという構造的な矛盾をはらんでいました。
(>>ファッション×テックBLOG『Fashion Diversities.』vol.6)
しかし、ファッションデザインのプロセスをデジタル化することにより、
・従来のサンプル製作にかかった時間と
・費用が大幅に削減できること
が期待されているほか、3Dモデルで受注を取れるようになれば、精度の高い需要予測ができるようになり見込み生産のロスを一気に減らすことも可能かもしれません。
では、現在開発が進んでいる
「ファッションデザインプロセス」における「デジタル化」
を考えてみましょう。
左は従来の洋服が店頭に並ぶまでの概要、右の表はデジタル化が進んだ場合のデザインプロセスです。
この表をご覧いただいておわかりのように、3D化が進むとサンプルを作る工程が必要なくなります。
ビジュアルで表すとこのようなイメージです。
このサンプルを作る工程は時間と手間、そしてコストが多くかかります。
この確認のために、数回作るサンプルを1回減らすだけでもアパレル産業にとっては大きな産業革新です!
衣服の2Dと3Dを行き来できるソフトウエアは国内外で開発が進み、やっとアパレルビジネスで活用できるレベルになりました。今後、急速に広がると言われています。
さて、では新しい「ファッションデザイン」のプロセスがデジタル化された近未来では、
「デザイナー」「パタンナー」「ソーナー(=縫製技術者)」
の役割はどうなるのでしょうか?
旧来の認識と技術のままでよいのでしょうか?
求められる必要なスキルとはどんなものでしょうか?