ファッションデザイナーに未来はあるの?
東京ファッションテクノロジーラボではファッションAIや3Dモデリングの授業を実施しています。
日進月歩するデジタル技術はファッションデザイナーという職業にどんな影響を与えるのでしょうか?
今回はファッション教育機関として未来のファッションクリエイターが身につけるべきことを考えていきたいと思います。
AIを活用した画像認識技術は日進月歩で精度を向上し、すでに複数の洋服の写真を捉えてデザインの特徴を掛け合わせた画像生成が可能になっています。
(c) Andrew Brock, Jeff Donahue, Karen Simonyan
この中でAIが画像生成した犬(1枚だけ)を見抜けますか?
(※正解はこのブログの最後に・・)
このような画像生成技術を活用してファッショントレンドや売れ筋商品の画像をAIに自動学習させるとどうなるでしょうか?
売れ筋の特徴やトレンドを兼ね備えたファッション画像が出来上がるはずです。
つまり、売れ筋やコレクショントレンドなどをコピーするだけのデザイナーはAIに取って代わられることになります。
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2015-09-10 mattya 画風を変換するアルゴリズム ブログより(2015年にすでにこのレベルです!)
また、人気のインスタグラマーのファッションスナップをAIが分析して、同じような商品をWEB
上から探してくるAIサービスもすでに展開されています。
そして、過去によく売れた商品の画像を学習させたAIは、デザイン(形やディティール、色など)と販売数量、消化率との関係をデータ化し、今季投入する商品の最も効率の良い生産数量などを指示しています。
かたや、IBMワトソンではツイッターのアカウントを入力するだけで、その人の性格を図表化する無料のサービスも展開しています。これは、言語学習のAIを使って筆者の特徴を推測しているのです。
IBM Watson Personality Insightsを活用したブログ記事NegativeMindExceptionから
「ささげ業務」の原稿書きもAIが担っています。
皆さんが見ているECのアイテムやスタイリングのテキストはAIが書いているのかもしれません。
画像出展:https://sasage.ai/
また、我々が見ているブランド広告のファッション写真の中には、デジタル上で製作されたバーチャルな3Dデータが使われています。
これは洋服を製作する型紙(パターン)データから生成されており、サイズ、シルエット、デザイン、素材感も非常にリアルな3Dデータ生成が可能です。
※TFLでは、このモデリングソフト「CLO(クロ)」のオペレーション授業も実施しています。
CLO HPより
※3Dデジタルデータとサンプルの写真画像データです。どちらかわかりますか?
WWDに掲載された画像は全てデジタル上で作られたデータ。モデルもアバターです。
ファーの毛並みまで見事に表現しています!!
ここまで、ファッションAIや3Dモデリングのテクノロジーを紹介してきました。
ファッションデザイナーや企画・プロデュースに関わる職種は無くなるのでしょうか?
無くならないとしたらファッションデザイナーやファッションプロデューサーなどの人(人間)が身につけなければならないポイントは何でしょうか?
TFLが定義する近未来のファッションクリエイターは以下のスキルを持った人材です。
AIや新しいデジタル技術を活用できるスキルを持ち、
6感(5感+直感)をフルに使って、
多様なターゲットの気持ちに共感でき新しい価値を創造できる人。
そのためにも、多様な人が集い、時間空間を共有して夢を語りあい、
素晴らしい未来を考えることが重要と。。
前述の写真の回答です。
※1 犬の写真 左上角の写真がAIで合成された架空の犬です。
※2 水色のフード付きブラウス 左側が3Dデジタル画像。右が実物を撮影した写真データです。