体感してクリエイティブの可能性を広げる!-黒沼染工場への工場見学-
〜”ものつくり”を知る。プリント技法編〜
現在TFLでは、”クリエイティブジャンプ週間”です。
クリエイティブジャンプとは?
次のクリエイティブな段階へ跳べるように様々なゼミや講演会など、授業ではなかなか学べない項目について深く探っていく・新たに吸収する週間です。
本日は江戸川区にある黒沼染工場さんへ(http://www.kuronuma.co.jp/)工場見学をさせていただきました。
黒沼染工場さんは、なんと創立100周年!!
プリント加工や染色加工をメインに行なっている、伝統あるそして匠の技をお持ちの染工場さんです。
さてさて、工場にはなかなか行ったことのない受講生の皆様。
初の体験にドキドキです。どのようなことが得られるのでしょう?
奥の深いプリント技術
担当の樋口さんより、早速プリントの説明に入ります。
たかがプリント。されどプリント!!
一口にプリントと言っても、いろんな技術や材料を駆使して何パターンもの表現が可能となるのです。
細かい技術による賜物!!
例えば、
・ヘラの力加減(圧力)による、インクの乗る分量の違い
・ヘラの形・厚さによる違いで細部までこだわってプリントできる
・量産での効率や使用する糊やインクの性質により、刷る方向・回数を変化させている
・時にはヘラではないものを使用することにより、表現方法も幅も広がる
・油性プリントと水性プリントの様々な違い・向き不向き
などなどなど!ヘラの事項でも結構な情報量。
こんなにもプリントの奥が深いなんて。
(こちらはレースの版を制作し発泡プリントしたもの。とても可愛らしくデザインの幅が広がりそうな手段!)
受講生の皆さんも感激です!!心を奪われたところで、
『実際に工場を見た方が早い!』
と、お待ちかねの工場へご案内していただきました^^
この江戸川に移転してから60年とのこと。
とても広い敷地に染色やプリントの機械が配置されてました。
こちらは中華屋さんの円卓のように回してプリントできる機械。
シルクスクリーンでも4色分解など、色を何色も乗せるプリントだと使用することもあるのだとか。
実際よく使用しているのは、こちらの台。
この台に糊をつけ(この糊の強度もプリントするアイテムによって使い分けます!)、アイテムを固定し刷る作業をするのです。
黒沼さんはとても大きい染工場なので、この台の数がとても多く120台が並びます!圧巻の風景。
個人の工場さんだとこの1/3程度の分量なのだとか。
台にも種類があり、袖用の台も!
また、基本的には製品のみの加工ですが、90cmほどの生地であればプリント加工もできるとのこと。
ヘラの種類も様々。。
コンバーターで熱処理をすることにより水分を蒸発させ、プリントを定着させます。
枠にも種類が。普段は木枠ですがアルミ枠というものもあり、こちらの枠だと再利用が可能になるのだそうです。
さて、次は染色加工のゾーンへ。
この角バスという名前通り、お風呂のような水槽。
この水槽はグラデーション染専用。
吊るしてこのような出来上がりに。
パドルという名だけある、50kgまでの製品を染色することが可能な
染色の機械。
パドルのように回転させながら染めるのです。
特大100kgも可能なこちらの機械も!!
(ちなみに中に住めるほどの大きさという認識)
乾燥機も特大です!!
ドーン!!
その他にサンプル用のパドルもあり、少量だとここで染めるとのこと。
実際に工場を見て知識を仕入れた後に、さらに詳しく説明をしてくださいました。
刷る方法に何パターンもの種類があること。角度・ヘラの種類・圧力。
濃い色に対して明るい色を乗せるプリント技法もあるが、防染プリントや抜染プリントという技法もあり、使用したいボディ色・プリント色や素材の質感に応じて対応可能な手段があります。
またTシャツ加工で表現したい、”アタリ”などの古着感。
この加工方法も後加工で古着感を出す脱色と、顔料染による、染色と同時にその際の繊維同士の摩擦により出るアタリ感を表現できる加工方法。
堅牢度が高いのは後加工による脱色なので選ばれる加工方法ですが、時短や価格によって選択できる加工法がありました。
このようにざっくりと見た着地は似ていますが、求める箇所に対して狙い撃ちができる方法がある中で、
自分がどんなアイテムを作りたいのか、明確・具体化することがいかにデザイナー側には必要か改めて認識することができたのではないでしょうか。
このような丁寧なレクチャーの後、怒涛の疑問質問時間が到来したのです。
時間は予定を大幅オーバーして3時間もの間レクチャーしていただきました。
どのような質問に対しても快く答えてくださり、コレでもか!という程、深く、持っている知識を惜しみなく教えてくださった樋口さん、どうもありがとうございました!!
受講生たち各々がデザイナーとして企画者として、こだわりと匠の技術を持った職人さんたちとお仕事ができるようにスクール・受講生共々頑張っていきましょう!!